創業者ミシェル・パルミジャーニの誕生日を記念して発表される「オブジェ・ダール」コレクション。2024年12月2日に発表されたアートピースは、ミニッツリピーター「ラルモリアル・レペティシオン・ミステリューズ」。芸術的な美しさと卓越した音響技術を組み合わせた、従来の常識を覆す画期的な逸品であった。
ラルモリアル・レペティシオン・ミステリューズ
パルミジャーニ・フルリエの創業者ミシェル・パルミジャーニの誕生日を記念して発表される「オブジェ・ダール」コレクション。2024年12月2日に発表された腕時計はミニッツリピーター「ラルモリアル・レペティシオン・ミステリューズ」だ。このモデルは表からは時刻表示はない。裏側に配されているのである。
繊細なギヨシェを施した半透明パステルグリーンのグラン・フー エナメル
「ラルモリアル・レペティシオン・ミステリューズ」には、一見しただけでは分からない秘密が隠されている。伝統的な腕時計とは異なり、ラルモリアルの時刻表示は裏側に隠され、表側は全面にわたり芸術的なクラフツマンシップに捧げられている。ミシェル・パルミジャーニのインスピレーションの象徴であり、無限を表すメタファーでもある「松かさ」の繊細なエングレービングが、繊細なギヨシェ模様のある半透明パステルグリーンのグラン・フー エナメルをさらに引き立てる。
裏ダイヤルはグアテマラ産の白翡翠のディスク
時計を裏返すと、ケースの裏に控えめに配されたローズゴールド製の時針と分針が目に入る。この裏ダイヤルはグアテマラ産の白翡翠のディスクで飾られ、円形のインデックスを備えており、翡翠の自然なエレガンスと調和している。この隠れたダイヤルは、時計に内省的でパーソナルな個性を与え、時刻を確認する行為を私的で贅沢な体験にするだろう。
パルミジャーニ・フルリエの新しいケース
ラルモリアル・レペティシオン・ミステリューズは、この作品専用に特別に制作したホワイトゴールド製の42mmケースを備えている。ミシェル・パルミジャーニが大切にしてきた美学を継承し、ドーリア式の柱と黄金比に着想を得たデザイン要素が、古典建築の幾何学的な精密さと時代を超越したエレガンスを際立たせている。ケースをはじめ、細部まで彫り込まれたピンバックルに至るまでのあらゆるディテールに、メゾン・パルミジャーニ・フルリエを象徴する調和と完璧な美への追求が現れている。
カテドラルゴングのパワー
歴史上、ミニッツリピーターは、まだ電灯が普及していなかった時代に、暗闇でも必要な時にチャイムで時刻を知るための手段だった。この複雑な機構はハンマーとゴング(鐘)からなる精密なシステムを備えており、音による時刻通知という至高のウォッチメイキングを体現している。はっきりと澄んだ音色で響く鐘の音に耳を傾けると、精密に調整された明快な音によって、時、四半時、分を識別可能だ。
ラルモリアル・レペティシオン・ミステリューズの特徴は、ムーブメントを約2周するほどの長いカテドラルゴングにある。この長さがあることで、それぞれの音の共鳴が持続し、大聖堂の大鐘を彷彿とさせる深みのあるゆたかな音色を奏でる。各ハンマーはミリメートル単位の精度で打つように設計されていて、音の強度を最適に保ってくれる。カセドラルゴングの響きは感情に強く訴えかけ、それぞれの音色を神秘と深みに満ちたもの、時を超えた響きへと昇華させる。
ルノー・エ・パピ製の手巻きミニッツリピーター
ラルモリアル・レペティシオン・ミステリューズは、ルノー・エ・パピ製作の手巻きムーブメントを搭載している。392 個の部品で構成され、約72時間のパワーリザーブを誇るこのムーブメントは、他に類のない明瞭さと純粋な音色を実現している。ケースにしっかりと固定されたカセドラルゴングが音の響きを高める一方、ケースの裏側と側面の空洞が音を自然に増幅させる。さらに、ストライキング機構によって途切れのない滑らかな音を響かせ、チャイムのリズムを一定に保つ。
非常に難しい組み立て
このムーブメントをケースに組み込むことは、技術的に難易度がもっとも高い課題だった。ミリ単位での正確な組立てにより、最適なテンションを保ち、ダイレクトに音を伝達できるようにしている。また、それぞれのパーツは音質を最大限に高め、正確な計時を維持するよう調整されている。
注目すべきディテール
手巻き(Cal.PF355)。35石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KWGケース(直径41.6mm、厚さ12.65mm)。非防水。ユニークピース。※価格は要問合せ。