ジャケ・ドローの「オートマタ」コレクションに、「チンチラ レッド」と呼ばれる希少な鉱物を文字盤に用いた新作「ラブィング・バタフライ・オートマタ チンチラ レッド」が登場する。世界限定28本の販売となる。
自動巻き(Cal.Jaquet Deoz 2653 AT1)。57石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。18KRG(
直径43mm、厚さ16.63mm)。3気圧防水。世界限定28本。
1億5千万年前に形成された「チンチラ レッド」
この類稀なる美しさを持つタイムピースは、「チンチラ レッド」と呼ばれるペトリファイド・ウッドを用いた文字盤を備えている。ペトリファイドウッド(珪化木)とは、その名の通り「Petrified(石化した)」「wood(樹木)」のこと。「チンチラ レッド」が生きていたのは、およそ1億5千年前とされている。ちなみにこの名称は鉱物が採掘された地である、オーストラリアの最も東に位置する小さな町の名「チンチラ」に由来する。
デザインしたのは誰? ジャケ・ドローならではの意外な「作者」
ジャケ・ドローのファンの方なら既にお察しかと思うが、この生き生きとした芸術作品は1774年にアンリ・ルイ–ジャケ・ドローが生み出したオートマタ「画家」によって描かれたデッサン「愛によって導かれた蝶」から着想を得ている。小さな天使は愛情のシンボルであり、チャリオット(戦闘用の馬車)は勝利のシンボルだ。小さな天使は「キューピッド」を表している。
蝶とチャリオットは、職人の手作業によって彫金された数十個の固定式および可動式の彫金細工で構成されており、その全体が文字盤の両サイドに広がるゴールドでできた自然の舞台に溶け込んでいる。いくつもの階層が奥行きのある新しい空間を生み出しているのは、17世紀のヨーロッパで流行したデコパージュの技法のひとつで、その後アメリカに渡りハンドクラフトとして発展したシャドーボックスを連想させる。
蝶の羽だけではなくチャリオットの車輪にも仕掛けが施されており、一部のスポークは可動式で、残りは固定式になっている。ピエール–ジャケ・ドローが、およそ3世紀前に生んだ目の錯覚を利用しているところにも着目したい。ジャケ・ドローファン垂涎のオートマタコレクションの中でも、稀少な素材を使用し物語性が強く、語れる要素がたっぷりある1本であることは間違いないだろう。
またこの「ラヴィング・バタフライ オートマタ チンチラ レッド」の売り上げの一部は、「Plant a Tree for Me」や「One Tree Planted」といった、森林再生および固有種の保護に尽力する非営利組織に寄付される。これは「チンチラ レッド」の産出地であるオーストラリアの大規模森林火災など、世界各地で起こっている森林破壊を受けて、自然から得たものを自然に返す、というブランドの考えに基づいた活動の一環である。
Info-JaquetDroz@jp.swatchgroup.com
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