グラスヒュッテ・オリジナルより「シックスティーズ」、「シックスティーズ・クロノグラフ」の2020年アニュアルエディションが発表された。今年は壮麗な高山の風景や、雄大な氷河を想起させるグレイシャーブルーをダイアルに採用。同色のクロノグラフモデルがアニュアルエディションとして発売されるのは初の試みである。これまでのアニュアルエディション同様、発売年である2020年のみの期間限定生産となる。
今年の「シックスティーズ」は、エレガントなグレイシャーブルーをまとって登場
シンプルな3針の「シックスティーズ」。1960年代の旧GUBの時計を現代によみがえらせたような外観を持つ。同社は2007年に初めて「シックスティーズ(当時はセネタ シックスティーズ)」を発売し、以降はパノラマデイトやクロノグラフを搭載するなど定番モデルとして展開に力を入れてきた。自動巻き(Cal.39-52)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径39.0mm、厚さ9.4mm)。3気圧防水。2020年期間限定生産。77万円(税別)。
グラスヒュッテ・オリジナルは2018年から毎年、「シックスティーズ」の特別カラーを採用した期間限定生産モデルを発売してきた。18年はグリーン、19年はオレンジ、そして今年はグレイシャーブルーが採用され、よりエレガントな印象へと仕上げられている。更に今年は、同色の「シックスティーズ・クロノグラフ」も発売され、新たな選択肢ができたことはファンにとってうれしくも悩ましいところだろう。
シンプルなデザインを損なわずにクロノグラフ機能を搭載した、「シックスティーズ・クロノグラフ」。アニュアルエディションにおいて、3針と同色のクロノグラフが発表されるのは初めてのことだ。自動巻き(Cal.39-34)。51石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径42.0mm、厚さ12.4mm)。3気圧防水。2020年期間限定生産。94万円(税別)。
「シックスティーズ」のレトロなデザインは、同社の前身となる旧GUBが1960年代に発売した通称「タイプ2000/2001」にまでさかのぼる。独特の書体を持つアラビア数字のインデックス、柔らかなカーブを描くドーム型サファイアクリスタル風防、視認性を高めるため先端を曲げた針など、「シックスティーズ」には当時の雰囲気を彷彿とさせるディティールが随所に散りばめられている。もちろん、ただ再現をしているだけではない。現代的なアップデートが加えられ、高級機として相応しい仕様になっている。その最たるものはダイアルの仕上げだろう。
特徴的なデザインのダイアルは、複雑な工程を経て完成する。最初に地金板に繊細なサンレイ仕上げを施す。次にドーム型にするためプレス加工を行い、ガルバニックニッケルコーティングを施す。ダイアルの原型が出来上がると、次は塗装だ。グラデーション効果を得るために、まずはダークブルーのラッカーを塗布し、外周部をダークに仕上げる。次にダイアルの表面全体をグレイシャーブルーのラッカーでコーティングし、独特のグラデーションを生み出す。この作業はひとつひとつ手作業によって行われているため、個体ごとに唯一無二の表情を得るのだ。塗装の後は窯で熱して色を定着させ、バーインデックスの彫り込み、アラビア数字のプリント、スーパールミノバのハイライトを添えて完成となる。
ダイアルの製造は一貫して自社で行われるが、もともと1960年代のオリジナルモデルでダイアルを供給していた企業を同社が吸収し、内製化したという経緯がある。それだけに「シックスティーズ」の登場は感慨深いものだったに違いない。
「シックスティーズ」「シックスティーズ・クロノグラフ」アニュアルエディションはその名の通り、2020年のみの限定生産となる。この神秘的なダイアルに魅せられたら、是非ともお早めに手に入れてもらいたい。