ジャケ・ドローの「アトリエ・オブ・アート」コレクションから、高度な技術を要するパイヨン装飾が施されたふたつの新作モデル「グラン・セコンド パイヨン フルール・ド・リス」と「プティ・ウール ミニット パイヨン フルール・ド・ヴィ」が世界限定各8本で発売される。
新しいふたつの「パイヨン」
花のモチーフが輝くアートピース
ジャケ・ドローが誇る高度な装飾技術を堪能できるアトリエ・オブ・アート(LES ATELIERS D’ART)コレクション。ふたつの新作モデル「グラン・セコンド パイヨン フルール・ド・リス」と「プティ・ウール ミニット パイヨン フルール・ド・ヴィ」の文字盤には、18世紀から伝わる「パイヨン装飾」が施されている。目を引く透明感のあるブルー文字盤は、同社が得意とする高温焼成エナメルによるもの。その上に模様を付けた金片を載せている。かつて同社は昔の金片を使っていたが、近年その再生産に成功。一時途絶えたパイヨンを復活させた。透明感のあるブルー文字盤とレッドゴールドのケースが、華やかながらも品のある雰囲気を醸し出している。
フルール・ド・リスの意匠を取り入れたグラン・セコンド パイヨン フルール・ド・リスは、オパーリンシルバーカラーのサブダイアルとブルーダイアル、レッドゴールドケースのコントラストが秀逸な1本だ。直径43mmと存在感があるケースサイズながらも威圧感を感じさせないのは、グラン・セコンドのダイアルデザインによる功績も大きいだろう。ムーブメントには、シリコン製ヒゲゼンマイを採用したJaquet Droz 2663.Pを搭載。ストラップはダイアルに負けず鮮やかなブルーのアリゲーターストラップだ。ケースバックにはシリアルナンバーが刻まれている。クラシカルでありつつも、美意識を刺激される印象的なアートピースとなっている。
自動巻き(Cal.Jaquet Droz 2663.P)。30石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。18KRG(直径43mm、厚さ12.06mm)。3気圧防水。世界限定8本。予価457万円(税別)。
プティ・ウール ミニット パイヨン フルール・ド・ヴィは、インダイアルにマザー・オブ・パールを使用し、ベゼルにはダイヤモンドをあしらった1本だ。幾何学的な模様のフルール・ド・ヴィをモチーフとして採用している。華やかながらも派手すぎないバランスは、ジャケ・ドローのアトリエ・オブ・アートが持つ美的センスの賜物だろう。ドレスにはもちろん、仕立ての良いネイビーのジャケットの手元にも合わせられそうだ。
自動巻き(Cal.Jaquet Droz 2653.P)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。18KRG(直径35mm)。3気圧防水。世界限定8本。予価486万円(税別)。
18世紀から受け継ぐ「パイヨン装飾」とは
パイヨン装飾とは、18世紀から継承される装飾技術であり、その歴史はジャケ・ドローの歴史の長さに匹敵する。2層のエナメルの間にパイヨン(金属箔)を挟み込む技法で、これは同社が大切にするもうひとつの装飾技法、高温焼成エナメルダイアルの原理に基づいている。パイヨン装飾が行われる手順は以下の通りだ。
1.ギヨシェ装飾がゴールド製文字盤のベースに施される。
2.ベースを半透明のカラーエナメルで覆う。1回1回窯で焼成する作業を繰り返し、複数のエナメル層を形成する。
3.「パイヨン」と呼ばれる薄い金箔を切り抜いたパーツを、手作業でひとつひとつ文字盤にセッティングしていく。
4.セッティングされたパイヨンを半透明のエナメルで覆い、再び窯で焼成する。
このようにパイヨン装飾は手間と時間を掛けて作りあげられていくのだ。特に窯で繰り返し焼成する過程では、職人の熟達した技術が必要不可欠となる。ヒビなどの欠陥が生じた場合、すべてが台なしになってしまうからだ。ひとつひとつ手作業で配置したパイヨンは、エナメルで覆って焼成することにより固定され、保護される。複雑な過程と作業を要するために、パイヨン装飾を施した文字盤は1カ月で2枚しか作れないそう。世界限定8本という少ない本数もうなずける。
文字盤に施されるふたつのモチーフ
モチーフのひとつである「フルール・ド・リス(Fleur de Lys)」は、アイリスの花を様式化した意匠である。ヨーロッパにおいて紋章や旗などに多く見受けられるこの意匠は、かつてフランス王家の象徴であった。伝説によればフランク王国の王、クロヴィス1世がフルール・ド・リスを王家の紋章にしたという。キリスト教においては三位一体の象徴であり、受胎告知の場面では大天使ガブリエルを象徴するなど、聖母マリアとも関係の深い意匠なのだ。このようにフルール・ド・リスは非常に長い歴史を誇る意匠であるといえるだろう。
もうひとつのモチーフである「フルール・ド・ヴィ(Fleur de Vie)」は、直訳すると「生命の花」という意味の名前を持つ意匠だ。重なり合う円で構成され、世界各国で古くから用いられてきた。かのレオナルド・ダ・ヴィンチも、自らの手記の中にフルール・ド・ヴィのモチーフをスケッチしている。無限に連続し広がってゆくこの意匠は、普遍的なものといえるだろう。
古い歴史を持つこれらのモチーフは、ジャケ・ドローのアトリエ・オブ・アートが生み出すアートピースとして、新たな輝きを放つ。
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