パテック フィリップは、プラン・レ・ワット(ジュネーブ)における新工場の完成を記念し、SSケースの非常にエクスクルーシブな「カラトラバ 6007A-001」を発表した。製作本数は1000本だが、それでもパテック フィリップコレクターの間で争奪戦が起きること間違いない。
自動巻き(cal.324 S C)。29石。28,800振動/時。パワーリザーブ最大45時間。SSケース(直径40mm、厚さ10.34mm)。3気圧防水。カラトラバ十字と《New Manufacture 2019》の文字が特別に記載されたサファイヤクリスタル・バック。309万円(税別)。世界限定1000本。
パテック フィリップは、自社の歴史における重要な出来事を記念するために、限定製作の記念モデルを発売した。これはコレクターにとって、そのデザインが気に入るかどうかという思惑を越えて、資産形成のために購入すべきかどうか、自分にそれを買うチャンスが巡ってくるかどうか、常に思い悩むことになってしまうのだ。1997年にも、プラン・レ・ワットの新しいマニュファクチュールの落成を記念するために発表された「パゴダ 5500」モデルと「ミニット・リピーター 5029」モデルは、コレクターを悩ませた2つの著名な例である。マニュファクチュール パテック フィリップは、地上6階、地下4階の巨大な自社工房「PP6」の落成を記念し、SSケースというパテックでは希少で、デザイン的にも新しいチャレンジをしたカラトラバ(限定1000本)で、伝統をいま一度力強く表明する。
1,000個の限定製作「カラトラバ 6007A-001」
ブルーグレーの真鍮製文字盤は、デリケートな回転サテン仕上げを施され、外周にホワイトの転写5分スケールを、内周にレール型アワーサークルが施された。夜光付ホワイトゴールドのアプライドインデックスと夜光付きホワイト塗装の時分針は、日中はもちろん、夜間の視認性を意識して採用されたとしか思えない。古くからドレスウォッチの世界基準とされ、夜光塗料を使わないカラトラバでは非常に珍しい組み合わせだ。
地上6階、地下4階の巨大な新工房「PP6」
1階と2階は地板(メインプレート)、受け(ブリッジ)、歯車、特殊形状部品などのムーブメント構成部品の製造と手仕上げに特化しており、3階は外装部品(ケース、ブレスレット)の機械加工、手仕上げ、組立て、およびジェム・セッティングを主体としている。現行コレクションの部品製造に加え、これらの工房は、パテック フィリップの主要な成功の要因であるカスタマーサービスが必要とするスペアパーツの在庫を製造する役割も担っている。アンティーク・タイムピースの修復(レストレーション)もここで行われる。
なぜ巨大な新工房が必要だったか?
パテック フィリップの製造ラインは、既にコンプリケーテッド・ウォッチが全モデルのほぼ半数を占めている。《有用なコンプリケーション》(特許取得済みの年次カレンダー、ウィークリー・カレンダー、トラベルタイム、ワールドタイム)は急速な成長を遂げ、特殊なメカニズムへの需要は明らかに増加してきた。またパテック フィリップの顧客中心の開発哲学により、時計の使用を容易にし、操作の安全性を高め、とりわけグランド・コンプリケーションの信頼性を高めるのに必要なメカニズムの数は飛躍的に増加した。その結果、時計1 個当たりの平均部品数が増加している。パテック フィリップの戦略である広範な現行コレクション(シンプル・ウォッチ、有用なコンプリケーション、グランド・コンプリケーション、カジュアル・エレガンス、婦人用タイムピース、ジュエリーウォッチ)、160 を超えるモデル数(各々の製作個数は数十から数百個)、さらに自社製の豊富な種類のキャリバーが搭載されることも、製造スペースを拡充する必要性を高めている。きわめて高度な熟練を要する希少なハンドクラフト・タイムピースへの需要の高まりもあって、状況はさらに深刻になっていた。
パテック フィリップのノウハウ全体をひとつの屋根の下に統合
4階には、新素材・新技術分野の研究開発(パテック フィリップ・アドバンストリサーチ)、高級時計製作部門、プロトタイプ関連の新ユニットなど、生産に関わるさらなる部門が配置されている。5階には、パテック フィリップが積極的に推進している希少なハンドクラフト技術(手彫金、七宝、ギヨシェ装飾、微細な木象嵌など)を継承し、さらに進化させていくためのスペースがある。同フロアには299名収容のオーディトリアム(講堂)のほか、時計師や国際セールス・ネットワークのスタッフが研修を行うトレーニング・ルームもある。
新工場の完成を祝う記念タイムピース「カラトラバ 6007A-001」
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