ジャガー・ルクルトは新しく「マスター・グランド・トラディション・グランド・コンプリケーション」を発売する。これはミニッツリピーターと恒星時表示付きオービタル・フライングトゥールビヨンを搭載したモデルである。ケース素材、ベゼルの仕様違いで2種類が用意され、それぞれ世界8本限定だ。
18KPGケースのモデル。ケース構造は2019年に発表した「マスター・グランド・トラディション」のミニッツリピーターと同じものを採用する。滑らかな曲線と大胆にくり抜かれたラグ部分が優雅な印象を与えている。手巻き(Cal.945A)。50石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。PG(直径45.0mm、厚さ 16.05mm)。5気圧防水。世界限定8本。
150年目に贈る、再解釈されたグランドコンプリケーションウォッチ
数ある機構の中でも最も複雑で製造が困難とされているもののひとつに、ミニッツリピーターがある。ケースサイドに設けられたレバーを押下することで時刻を音で知らせるこの機構は、小さなケースから大きく澄んだ音を出すために多くのサヴォアフェール(ノウハウ)とそれを実現させるための技術が必要となる。
ジャガー・ルクルトは、1870年にミニッツリピーター用ムーブメントの開発に成功し、以降現在に続くまで改良を続けてきた。そして150年目を迎える今年、同社はミニッツリピーターに加え恒星時表示付きオービタルフライングトゥールビヨンを搭載した「マスター・グランド・トラディション・グランド・コンプリケーション」を発表した。
ホワイトゴールドケースに44個のダイヤモンドをセットしたベゼルを組み合わせたモデル。両モデルとも、ダイアル中央のディスクには、同社の本社があるジュウ渓谷から見た星座が描かれている。画像では7時位置にある太陽型のポインターは、月日、黄道十二宮、24時間表示を担う。
「マスター・グランド・トラディション・グランド・コンプリケーション」は、過去数回発表された同名のモデルに再解釈を加えたモデルである。ダイアル中央に描かれた星座、フライングトゥールビヨン、その周囲を囲む立体的な透かし細工が、見る者を荘厳な宇宙の世界へと誘う。
トゥールビヨンは恒星日に1回、反時計回りに回転する。恒星日とは我々が日常で使用する太陽日の1日24時間よりも僅かに短い、23時間56分4.1秒を1日としているものだ。これは恒星が春分点を2回通過するまでの時間であり、同じ恒星時で見ることのできる星座は常に同じものとなる。そのため、天文学者が星の動きを追うために用いることが多い。
ミニッツリピーター機構には、同社が培ってきたサヴォアフェール(ノウハウ)がふんだんに盛り込まれている。サファイアクリスタルの音質を利用した「クリスタルゴング」が採用され、更にゴング自体の形状を四角形とすることで、安定した大きな音を出すことができるよう工夫されている。そのゴングを叩くハンマーは、中世に城壁を破壊するために用いられた兵器であるトレビュシェットから着想を得た「トレビュシェハンマー」が採用され、打鍵の速度と力を高めている。
ミニッツリピーター機構は時刻を知らせるものであると同時に、小さな楽器でもある。同社はその哲学に基づき、現行ほぼすべてのミニッツリピーターに遠心力を用いてチャイムを制御する「サイレント・ストライク・ガバナー」を搭載している。これにより雑音を取り除き、美しい音色を響かせることに成功している。
バリエーションはブラックダイアルと18KPGケースの組み合わせのものと、ブルーダイアルに18KWGケース、バゲットカットダイヤモンドをべセルにセットしたものの2種類が用意される。各8本のみの限定生産となる。
Contact info: ジャガー・ルクルト Tel.0120-79-1833
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