今ではブレゲのアイコンに成長した「トラディション」が発表されたのは2005年。それは、ムーブメントの調速機構を地板の上に配し、表から見えるようにした初の時計だった。その剥き出しの機械感が人目を引かずにおれない「トラディション」コレクションに、初めてブルーダイヤルが加わった。ブレゲ ブティック限定モデル「トラディション オートマティック レトログラード セコンド7097」の若々しい印象となっている。
直径40mmのケースに納められているムーブメントは、アンクルにシリコン素材を使った脱進機や、同じくシリコン素材による外端曲線付きブレゲひげゼンマイを搭載し、非常に安定した歩度を実現しているキャリバー505SR1である。
自動巻き(cal.505SR1)。38 石。2万1600振動/時。18KWG(直径40 mm、厚さ11.8 mm)。パワーリザーブ約50 時間。30m防水。391万円(税別)。ブレゲ ブティック限定
トラディションの源流は「スース クリプション」
このモデルは、同コレクションの他のモデルと同様に、ブレゲ初期(1796年)の懐中時計「スースクリプション」ウォッチからインスピレーションを得て開発されている。中央に配置された香箱に加え、これを挟んで左右対称に向かい合う同サイズのテンプと2番車が「スースクリプション」の特色である。
地板とブリッジの表面には「グルネイユ(サンドブラスト)」と呼ばれる装飾仕上げ
レトログレイド式スモールセコンドは、10時位置に置かれ、ロジウム仕上げのブレゲ針を採用する時針や分針とともに秒を表示。時刻の読み取りやすさを最適化し、このスモールセコンドを強調するために、ペルラージュを施した半円形の秒目盛りがダイヤルに重ね合わされた。パラシュート衝撃吸収装置は、左右対称に歯車が配置されたダイヤルの4時位置のテンプに組み込まれている。ブレゲが発明した、このテン真を衝撃から保護する装置は、「トラディション」コレクションの一目でわかる特徴である。それはまた、「インカブロック」を含む、現在の時計に使われている耐衝撃機構のまさに元祖なのだ。
ブルー仕上げのゴールドダイヤルに「クル・ド・パリ」装飾
「トラディション 7097」は、通常なら地板の下に隠されたブリッジや歯車、脱進機、香箱、その他のムーブメント部品を露わにして見せる点でも「スースクリプション」や「モントレ・ア・タクト」のメカニズムを称えるものだ。左右対称に配置されたブリッジが形作る美しいバランスは、シンプルな仕上げによっていっそう強調される。また、地板とブリッジの表面には「グルネイユ(サンドブラスト)」と呼ばれる装飾仕上げが施されている。この仕上げを均一にムラなく施すには、特殊な技術が要求され、わずかな失敗も許されない。ゴールド製のローターは、当時のムーブメントに使われていたスタイルを踏襲し、12時位置にオフセットされたブルー仕上げのゴールドダイヤルには、伝統的な手彫りギヨシェによる「クル・ド・パリ」の装飾が施されている。
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