スピード狂のレーシングドライバーで、幅広いコレクターであるエウジェニオ・アモス氏の会社(アウトモビリ・アモス社)が世に送り出した「ランチア デルタ フューチャリスタ」は、デルタのオリジナル車体をベースに、最先端技術を駆使してデザインされ、2018年に発表されるや否や、世界中の自動車ファンが即座に恋に落ちた。アントワープにあるレッセンスの工房を訪れたエウジェニオ・アモス氏の「時間と車に関する機能を備えた、真のドライバーズウォッチを開発することは可能か?」という問いかけから始まったコラボが、ようやく実を結び「Type 5X」として発売される。
時間と車に関する機能を搭載した「Type 5X」
自動巻(Cal.2824/2)特許取得ROCS 5(Ressence Orbital Convex System)。41石。毎時28,800振動。パワーリザーブ約36時間。Tiケース(直径46 mm、厚さ15.5 mm)。100m防水。世界限定40本。358万円(税別)。
ターボの機能とは?
1980年代を知っている人であれば、ターボエンジンでなければ真にスポーティな車と認められなかったことを記憶しているだろう。ワールドラリーカーの「グループB(そしてA)」やランチア・デルタ・インテグラーレなどのターボ車は、ラリーカーの象徴となった。レーサーであれば誰でも、レース前の車両とターボのウォームアップが必須であることを知っている。スタート前にエンジンを始動し、オイルを最適な温度まで温める。走行後も、すぐにエンジンを停止せず、冷却するのを待つ必要がある。レース後、ターボはエンジンオイルの温度よりかなり熱い状態で、エンジンを停止すると、オイルは循環せず、オイルが超高温になり、理想的に循環しない劣化したオイルだけが残るようになってしまう。
ターボカウンターを備えたベゼル
Type 5Xのベゼルは、全体のデザインの中でもひときわ目立っている。ベゼルに刻印されたオリジナルのマークは、オートモービル・アモス社とのコラボやターボ機能と直接的に関係している。ベゼルは、2つのパーツに別れている。片方は、エンジン暖機のため(15 分)、「S」はスタート、「D」はドライブ、「R」はレースを表している。もう一方は、ターボの冷却のため(10 分)の表記だ。コーヒーを淹れることからジャーナリングまで、日常のすべてのルーティンと同様に、トラック上でも日常でも、レースの準備をし、そこから解放されるという、ドライバー特有の思考と緊張そして弛緩を日常に提供する機能だ。
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