H.モーザーは、今年で4回目を迎えるチャリティーオークション、オンリーウォッチに出品する特別なユニークピースを発表した。ストリームライナーのケースに、トゥールビヨンを搭載したムーブメントを組み込み、ダイアルはベンタブラック®︎で覆われている。
さまざまな要素を1本に集結
H.モーザーは、2021年のオンリーウォッチのためにユニークピースを製作した。今回発表された「ストリームライナー・シリンドリカルトゥールビヨン オンリーウォッチ」は、独自のスタイルを特徴づける複数の要素を組み合わせた、世界でたった1本しか作られない特別なモデルである。
今回H.モーザーが参加するオンリーウォッチは、2005年以降、2年に1度開催されているチャリティーオークションだ。神経筋疾患、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法の研究開発支援を目的としている。多くの時計ブランドが毎回参加し、モナコからドバイ、パリ、ロンドン、ニューヨーク、東京、シンガポール、香港、台北を巡るエキシビジョンが行われ、最後にジュネーブで開催されるオークションに出品される。2021年は11月6日に開催予定だ。
自動巻き(Cal.HMC 810)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ10mm:サファイアクリスタル風防を除く)。120m防水。ユニークピース。価格未定。
有機的なクッション型ケース
本作では、H.モーザーが2020年に発表したラグジュアリースポーツウォッチ「ストリームライナー」のケースを採用している。直径40mmのクッション型ケースは120mの防水性能を備え、風防にはドーム型のサファイアクリスタルが用いられた。
ステンレススティール製のケース本体からブレスレットまでが完全に一体型であり、理想的な装着感を提供する。有機的な曲線で構成されるフォルムは、1920年代に活躍した高速鉄道の車両から着想を得たものである。サテン仕上げとポリッシュ仕上げを巧みに使い分け、見る角度によって波のように表情を変化させる。
視覚的にも楽しめる3次元ムーブメント
今回のモデルが搭載するムーブメント、Cal.HMC 810は、2020年発表のスペシャルエディションのために製作されたもの。マキシミリアン・ブッサー率いる時計ブランド「MB&F」と共同で開発し、円筒形のヒゲゼンマイと、傾斜をつけた小径ダイアルが特徴的だ。
円筒形(シリンドリカル)のヒゲゼンマイは18世紀に発明されたもので、マリンクロノメーターに用いられていた。同心円上に伸縮するという特性から、脱進機の精度向上につながるというメリットがある。
ただし特殊な形状がゆえに製造が難しく、従来のヒゲゼンマイの約10倍もの時間を要する。ヒゲゼンマイの製作は、H.モーザーのグループ会社であるプレシジョン・エンジニアリング社が担当した。
光を吸収する漆黒のダイアル
立体的なムーブメントを強調するために、ダイアルにはH.モーザーが時計業界で初めて採用したベンタブラック®︎がコーティングされている。このベンタブラック®︎は光の吸収率99.965%を誇る人工的に作られた素材で、カーボンナノチューブを等間隔に並べた原子配列になっている。
人間の目で対象物を認識するにはわずかでも光の反射が必要であるため、我々にとってはブラックホール同様の何もない空間が広かっているように見えるのだ。傾斜したダイアルに印字されたホワイトのインデックスや時分針が際立ち、この黒さは視認性の向上にもつながっている。
今回発表された「ストリームライナー・シリンドリカルトゥールビヨン オンリーウォッチ」は、2021年9月22〜25日に開催するモナコヨットショーで披露される予定。その後はオンリーウォッチの巡回展で欧州、アジア、中東などでの展示を経て、来たる11月6日のオンリーウォッチオークションで本作のオーナーが決まるのだ。
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