ジンを代表するモデルが、パイロット・クロノグラフの「103」だ。1960年代以降、このモデルは搭載するムーブメントや機能を変えつつも、継続的にシリーズを拡大してきた。その最新作が、創業60周年モデルとしてリリースされた「103.KLASSIK12」である。
古典的なデザインをまとう「103」の最新作
フランス軍のパイロットウォッチ規格であるタイプ20は、多くのパイロットウォッチのあり方に決定的な影響を与えた。そのひとつと思われるものが、ジンの103である。1961年創業のジンは、60年代以降も、ジンはムーブメントを変えながらも、103を継続して製造し続けている。現在、タイプ20に最も近いクロノグラフが、ジンの103と言えるかもしれない。
そんな103の最新版が、創業60周年記念モデルの「103.KLASSIK12」である。クラシックという名前にふさわしく、このモデルは縦三つ目ではなく、横三つ目の古典的なトリコンパックスレイアウトが与えられた。搭載するのはセリタ製のCal.SW510で、103への採用は初となる。
自動巻き(Cal.SW510)。27石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SSケース(直径41mm、厚さ17mm)。200m防水。世界限定600本。58万3000円(税込み)。2021年9月末発売予定。
3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、そして9時位置にスモールセコンドを持つ文字盤のレイアウトは、1960年代から70年代の103にまったく同じ。また、ブラックの文字盤にアイボリーのサブダイヤルの組み合わせも、やはり往年の103に見られたものだ。
とはいえ、これは復古調のモデルではない。ベゼルのインサートはアルミから傷の付きにくいセラミックス製に変更され、文字盤の仕上げもマットではなく艶ありとなった。インデックスや針も、白の塗装ではなく、ロジウムメッキ仕上げである。パイロットウォッチの103に、あえて高級機のファイナンシャル・クロノグラフと同じ仕上げを与えたのは、新しい103を高級版に位置づけるためだろう。その証拠に、12時位置のロゴの下には、フィナンシャル・クロノグラフに同じく「FRANKFURT AM MAIN」の文字が加えられた。
そもそもの103は、頑強さをうたったプロ向けのクロノグラフだった。加えて、サファイア風防を採用したSA以降は、回転ベゼルの固定方法が変わり、いっそうタフになった。その回転ベゼルのインサートをアルミからセラミックスに変更した「103.KLASSIK12」は、103の完成形と言ってよいかもしれない。もっともこれは、今風のカジュアルに使えるクロノグラフではない。17mmというケース厚はデスクワークに向かないし、20気圧という防水性能も、普段使いのクロノグラフとしては過剰だ。
しかし、ジンの愛好家や他にはないクロノグラフを好む層は、このモデルを気に入るだろう。新しい103は、かつてないほどタフになっただけでなく、らしからぬ上質さをも備えているのである。もっとも、創業60周年記念として作られた103.KLASSIK12は世界限定わずか600本。興味のある方は、是非店頭で確認されたし。
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