セイコー プレザージュのクラフツマンシップシリーズより初の琺瑯レディスウォッチが誕生

セイコーのプレザージュコレクションから、ブランド初となる琺瑯ダイアルを採用したレディスウォッチ全3機種が発表された。レギュラーモデル2機種、限定モデル1機種が展開され、限定モデルは三日月をイメージしたダイアルが特徴である。

洗練されたケースと琺瑯ならではの艶やかなダイアル

　セイコー プレザージュより、ブランド初となる琺瑯ダイアルを採用したレディスウォッチ全3機種（レギュラーモデル2機種、数量限定モデル1機種）が発売となる。

　無駄のない洗練されたデザインが周りに流されず自分の価値観を持ち、毎日を丁寧に生きている女性の日常に寄り添う、今回発表された新作。ダイアルは琺瑯職人の横澤満氏監修のもと焼き上げられており、柔らかい光沢と温かみのある質感を保ち続け、永く色あせない。

　レギュラーモデルは、新色である桜色のダイアルにブラウンのインデックスを配したモデルと、ホワイトのダイアルにディープブルーの針とインデックスを配した2色展開だ。この新しいダイアルカラーからは日本の色彩美が感じられる。

　一般的に桜色、というとベビーピンクのようなカラーを想像するが、この琺瑯ダイアルの桜色はまさに本物の桜の花びらの儚さを表現している。限りなく白に近い薄紅色のナチュラルな色合いだ。

セイコーが誇る高い技術力を要する琺瑯ダイアル

　琺瑯はもともと西洋から伝わった技術で、金属などの素材の表面にガラス質の釉薬を焼きつけたものだ。西洋では「エナメル」と呼ばれ、日本では琺瑯や七宝と言われている。両者の違いは、鉄やアルミなどの金属を下地にしたものが琺瑯で、食器などの日用品に使われる。

　一方で金や銀、銅などを下地にしたものが七宝で、装飾、美術品として使われるものだ。独特の柔らかい光沢から感じる、温かみのある琺瑯の質感が腕時計に豊かな表情を加える。

　セイコーで使われている琺瑯のダイアルは3cmほどと小さく、厚みなどにも制限がある。繊細に作り込まれるダイアルに琺瑯を施すことができる職人は日本でも数少ない。セイコーの琺瑯を監修する横澤氏が、琺瑯を施す作業の中でも特に難しく、苦労する点だと語るのが、製品の仕上がりを決める下塗りの部分だ。

　これが一番肝心で、薄いと欠陥が出やすくなり、厚いと仕上がり基準をオーバーしてしまったりする。希望する色が出しづらくなってしまうこともあるので、細心の注意が必要な作業である。

　また、厚さにして0.10mmから0.12mmの範囲のなかでも、0.12mmで塗るのがベストな仕上がりにつながるそうだ。0.02mmの違いは塗布する時間で測ることができるそうだが、目で見た感覚でも分かるとのこと。この琺瑯ダイアルは製造が難しく、生産数も限られる。採用しているブランドが極めて少なく、貴重なダイアルであると言える。

夜空に浮かぶ優美な「月」をモチーフにした限定モデル

　日本最古の物語といわれる「竹取物語」でも魅惑的な存在として描かれ、人々を魅了し続ける「月」をモチーフにした限定モデルも登場する。

　夜空を思わせる紺色の琺瑯ダイアルと、三日月型のゴールドカラーのインデックスが個性的なアシンメトリーダイアルとなっており、ストラップのクロコダイルが華やかさを添える。三日月の輪郭とインデックスは、９回以上の塗布を重ねて立体的に仕上げ、夜空に浮かび上がっているかのような浮遊感を演出している。瑞々しい琺瑯の艶やかさと相まって、ダイアルに奥行きを与えている。

　本作に搭載されたキャリバー６R31は、カレンダー機能を省くことでダイアルの個性をシンプルに際立たせている。約70時間のパワーリザーブを有するため、週末の金曜日にゼンマイを最大に巻き上げておけば、着用せずとも月曜日の朝になってもそのまま使用可能な実用性も備えている。

　内面無反射コーティングを施したデュアルカーブサファイアガラスにより、どの角度からでも時刻が見やすく、しっとりとしたダイアルの表情を楽しむことができる。