【2022年 新作】モンブラン、ケース内部の酸素を取り除いた「モンブラン 1858 ジオスフェール クロノグラフ」の新作を披露

モンブランは、登山家のために開発した新型ツールウォッチ「モンブラン 1858 ジオスフェール クロノグラフ ゼロ オキシジェン リミテッドエディション 290」を発表した。標高が高い場所での使用を想定し、ケース内とケース素材自体から酸素を取り除いた点が特徴だ。290本のみ製作される限定モデルである。

無酸素ケースがもたらす多くのメリット

　モンブランはウォッチズ＆ワンダーズ 2022で、本格的な登山家に向けた新モデル「モンブラン 1858 ジオスフェール クロノグラフ ゼロ オキシジェン リミテッドエディション 290」を披露した。“ゼロ オキシジェン”というモデル名が示す通り、本作はケース内とケース素材自体から酸素を取り除いていることが特徴だ。

　これは、登山中における過酷な環境下での時計の安定稼働を目的とした技術である。ムーブメントが機能するケース内部を無酸素状態にすることで、標高が高い場所での急激な気温変化によって起こる風防の曇りを解消するだけでなく、パーツの酸化を防止。すべての部品が非常に長持ちし、長期間にわたって高い精度を保つことが可能になる。

　加えて、マイナス50℃の気温下でも問題なく使用できるように、ムーブメントに使用されるオイルは特殊なものを採用している。時計の精度によってオイルの潤滑は重要な役割を持っており、登山中の機器の不良は絶対に避けなければならないのだ。

　今作は、モンブラン独自の自動巻きムーブメント、キャリバーMB 29.27を搭載し、センタークロノグラフ秒針、3時位置に30分積算計、9時位置に12時間積算計を備えている。奥行きのあるグレイシャルブルーの美しいダイアルは、「グラッテボワゼ」と呼ばれるほとんど忘れ去られた伝統技法によって生み出され、氷河の深みを表現している。

　また、エベレスト山を称えたケースバックにも注目したい。世界最高峰のエベレスト山のイメージは、伝説的な登山家であるライン ホルト・メスナーが1978年に取ったルートを示している。

　非常に特殊な技術を駆使して3Dレンダリングを行い、表面に奥行きとリアリズムを与えることによって、このエベレスト山のモチーフを際立たせている。このメダルはチタン製であり、レーザーによってモチーフを彫刻した後、マットと鏡面を分けた表面仕上げもレーザーで行う。

　最後は“色付け”だ。表面の色はペイントなどではなく、レーザーで生成された酸化作用によって生み出されるものである。酸化の度合いによって、最終的に望まし い色が決まり、よりリアリティのあるエベレスト山を描くことに成功した。

　そして本作は、大英帝国勲章を授与した著名な登山家、ニルマル・プルジャに手渡され、2022年5月に行われる酸素補給なしのエベレスト山頂への登山で、彼の腕に装着されることが決定している。実際に登山で着用されることはこれが初となるため、高い性能を発揮することが期待される。