パルミジャーニ・フルリエは、『トンダ PF シィアリーカレンダー』を発表した。これは、グレゴリオ暦とイスラム暦を再現したスペシャルエディションに続く、非常に複雑な作品で、パルミジャーニ・フルリエが開発するカレンダー領域を代表する三作目となる。『シィアリー』という名前は、中国の伝統的な暦である夏暦を意味している。
トンダ PF シィアリーカレンダー
太陰太陽暦
中国の暦は、太陽暦と太陰暦を別々に計算し、それを同期させるという複雑なものだ。これは、太陰月またはうるう月を追加することで実現されている。約三年ごとに導入される13ヶ月目の月によって、ふたつの周期が一致するようになる。また、中国の暦では太陽年を二十四節気に分割し、これが農暦を象徴する。新年は正確な規則に従って決められ、その直前にある月の名前を冠する。この計算は複雑だが、季節に沿ったものであり、旧正月を春の到来に合わせることができる。より一般的な新暦で言うと、一月末から二月末の間(1 月21日から2月19日)にあたる。
60年周期
中国暦は、月に名前をつけて年に数字を充てるグレゴリオ暦とは違い、月に数字を充て年に名前をつける暦である。年号は60年周期(六十進法)で繰り返されるが、日、曜日、月などの暦は天文観測に基づいた計算により変動する。このように計算が変動するため、中国暦の永久カレンダーをつくることは不可能なのだが、パルミジャーニ・フルリエはもっとも完全なる、かつ正確な中国暦を時計の形で実現するという点において可能な限り前進した。この時計の時間単位は、十進法の「十干」と十二進法の「十二支」の組み合わせで構成されている。
十干は、季節や惑星に水、木、金、火、土の五行説の要素を割り当てる役割を担っている。十二支は、それぞれ動物で表される干支で、その動物が60年周期とその年に生まれた人に与える運命や性格への影響を表すとされる。
要素が多く、情報が複雑なカレンダー
自動巻き(cal.PF008)。42石。28800振動/時。パワーリザーブ約54時間。SSケース✕PTベゼル(直径42mm、厚さ12.2mm)。100m防水。873万4000円(税込み)。
パルミジャーニ・フルリエは、複雑な情報をすべてダイヤルに集約することに成功した。ダイヤルに表示されている情報は、時、分、月の表示とその番号、三年ごとの追加月、短い月(29日)または長い月(30日)、黄道に沿った太陽の進路を視位置によって15度ずつ24分割した二十四節気、ポインターと年号、陰陽の色分けによる十二支の動物や五行説の元素の表示、そして日数とムーンフェイズなど多岐にわたる。すべての情報はひと目でわかり、ミドルケースの両脇にある様々な補正装置によって素早く調整することが可能だ。
この時計は、新しいキャリバーPF008に搭載された非常に高度なメカニズムにより、これらの情報を繁体字で表示する。中国の暦は周期的なものではないため、情報は機械的にプログラムされ、カムシステムによって12年の期間をカバーする。12年の期間を過ぎると、時計はリセットされ、新たな12年間が始まる。この期間中は時計が止まらない限り、調整も必要なく、すべての情報は正確なまま保たれる。もし時計が止まってしまっても、長期間分の調整を容易にする補正装置によって、曜日と月の数字を変えるだけで元に戻すことができる。
干支の順番
鼠(子)、牛(丑)、虎(寅)、兔(卯)、龍(辰)、蛇(巳)、馬(午)、羊(未)、猴(申)、鷄(酉)、狗(戌)、豬(亥)。
農暦を定める二十四節気
二十四節気とは、太陽の位置を干支に見立て、気候や農業の変化など、人間の生活に影響を与える現象を映し出すカレンダーである。黄道(地球から見た太陽の道)を15 度ずつ24 分割したもので、古代中国の農民によって考えられた。
一年を四つの季節に分け、各季節に計六つ(一ヶ月にふたつ)の節気を設けている。それぞれの節気には中国語の名前がついており、自然界やその現象、主に季節や気候の変化に関連して名付けられている。節気の名前には、自然は私たちの師であり、私たちは自然から学ぶべきであるという信仰が込められている。二十四節気は、古代中国において、気候の変化に応じて土地から最良の収穫を得るための農耕に重要なものだった。その後、中医薬学や道教の内丹術に取り入れられ、自然のサイクルに合わせてより良い治療法を処方するようになっていく。
中国暦の二十四節気
1. 立春(りっしゅん)2. 雨水(うすい)※雨量が増え、気温が上がる。大地が芽吹き始め、川の氷が解け、雁が南から北へ移動し、木や草が青く茂っていく。3. 啓蟄(けいちつ)※虫の声が聞こえ、冬眠していた動物たちが目を覚ます春の訪れは、農業活動のピークを迎える。4. 春分(しゅんぶん)※太陽が赤道の真上にあり、昼と夜の長さが等しくなる日。その後、太陽が北上し、北半球では昼が、南半球では夜が徐々に長くなっていく。5. 清明(せいめい)6. 穀雨(こくう)※「雨が降って百穀を潤す」ということわざ通り、早生の作物の新芽が出始める。収穫を迎える大切な時期である。7. 立夏(りっか)※この時期の太陽光は、地球に対して45度の角度を持っている。中国南部では気温が急激に上昇するが、中国北部では穏やかな気候が続く。8. 小満(しょうまん)※穀物は熟し始めるが、まだ成熟には至っていない。9. 芒種(ぼうしゅ)※大麦や小麦などの作物が成熟すると、農家は夏の植え付けを始める。10. 夏至(げし)※昼が最も長く夜が最も短い。この時期、北半球の多くは最高気温が上がらないまま何時間も日照を受ける。猛暑の到来は20~30日後。11. 小暑(しょうしょ)※もっとも暑い時期が到来しているが、猛暑はまだ来ていない。12. 大暑(たいしょ)※この時期、中国のほとんどの地域では一年でもっとも暑い季節を迎え、多くの都市で気温が35度以上になる。13. 立秋(りっしゅう)※夏が終わり、実りの季節が近づく。14. 処暑(しょしょ)※中国のほとんどの地域では、夏の暑さに別れを告げ、秋を迎える。15. 白露(はくろ)※気温が徐々に下がり、空気中の水蒸気が結露して白い露となり、夜には草木を覆う、まさに秋の涼しさの始まり。16. 秋分(しゅうぶん)※この昼と夜の長さが等しい日を境に、秋は2つに分かれ、直射日光は南下し、北半球では昼が短くなり、夜が長くなる。17. 寒露(かんろ)※この時、中国のほとんどの地域で白露の時よりも気温がずっと低くなる。露は厚く冷たくなり、降雨も徐々に少なくなる。18. 霜降(そうこう)※秋の最後の節は、気候がぐっと寒くなり、北国では霜が降りるようになる。19. 立冬(りっとう)※冬が来て、農家が秋の収穫物を運ぶ。20. 小雪(しょうせつ)※中国北部を中心に雪が降り始め、気温も下がり続ける。21. 大雪(たいせつ)※中国北部では気温が0度近くまで下がり、雪が深く重く地上に積もる。22. 冬至(とうじ)※昼の時間が最も短く、夜の時間が最も長い。23. 小寒(しょうかん)※中国の大部分が厳冬期に入る。地面や川が凍りつく。北からの寒気が南へ届く。24. 大寒(だいかん)※二十四節気の最後は、雪や雨、凍てついた気候が人々の生活に重くのしかかる。
https://www.webchronos.net/news/75399/
https://www.webchronos.net/iconic/82799/
https://www.webchronos.net/news/77609/