H.モーザーは、レアメタルのひとつであるタンタルを初めてケース素材に採用した「エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル」を発表した。
H.モーザー「エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル」
自動巻き(Cal.HMC 800)。32石。1万8000振動/時。パワーリザーブ約7日間。タンタル✕SSケース(直径42mm、厚さ13.1mm)。1182万5000円(税込み)。
H.モーザーのパーペチュアルカレンダーは、視認性に優れ、いつでも日時の早送りや巻戻しを行うことができ、時刻合わせをスムーズに行えるモデルとして広く知られている。そのアイコニックなモデルから、タンタルをケース素材に採用した新作が発表された。この希少なレアメタルがケースに採用されたのは、同ブランドでは初めてのことだ。
青みがかったグレーカラーのタンタル製ケースに、鮮やかなブルーのグラデーションと独特の鎚目模様を特徴とするエナメルダイアルを組み合わせた新作が「エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル」である。
H.モーザーは、タンタル製ケースにポリッシュ仕上げを施せるようになるまで、実に2年以上もの間、試行錯誤を繰り返した。タンタルの加工はサンドブラスト、つまりサテン仕上げがほとんどのため、ポリッシュ仕上げを実現できたのは特筆すべきことなのだ。
同社のパーペチュアルカレンダーは、サブダイアルも日付ディスクもないため、非常に読み取りやすい。エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメルでは、ブランドのロゴや12時位置と6時位置を除くインデックスさえも排して、ダイアルの美しさを余すことなく見せることで、H.モーザーのミニマルなスタイルをいっそう際立たせている。
中央には月を示す小さな針、3時位置の超大型日付窓には深夜0時に瞬時に日付が切り替わる「フラッシュ・カレンダー」機能があり、9時位置にはパワーリザーブ表示もある。時刻と日付はリュウズで簡単に設定することができ、一日中いつでも調整することができる。
グラン・フー エナメルダイアル
ゴールドのベースに打痕模様を打ち出す作業から始まり、異なる4色の顔料を湿らせ、細かく砕いてから塗布することで、濃淡を生み出している。ひとつひとつの顔料を慎重に加え、炉で熱して酸化させ、むらなく溶融させるまでの工程は、熟練のエナメル加工職人であっても細心の注意と途方もない忍耐を要する。
透明感のあるグラン・フー エナメルに仕上げるまでに計12回もの焼き入れを行い、ようやくH.モーザーを象徴するフュメダイアルが完成するのだ。こうして生まれるダイアルには、ひとつとして同じ物はない。独特なブルーのグラデーションは、「アビスブルー」と名付けられている。
タンタルの特徴
タンタルは、1802年にスウェーデンの科学者アンデシュ・グスタフ・エーケベリによって発見された、非常に密度が高くて硬質な金属である。空気に触れると、表面に母材を化学的攻撃から保護する非常に緻密な空気の層が形成される。耐腐食性に優れ、ほとんどの化学物質に反応せず、酸に対しても耐性があり、展性や延性に長けており、高精度の加工を実現できる。
ただ、融点が約3000°Cと高いため、加工には冶金に関する高度な専門技術が必要になる。変色しにくく、青みがかった反射が濃いダークグレーを引き立てるタンタルは非常に安定した金属で、美しさと耐久性を兼ね備えている。
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