肌当たりも快適なブレスレットは、バランスの良いクラスプ付き。ここにもロレックスの象徴たる王冠が輝いている。 |
慎ましやかに姿は見せず このムーブメントは構造的に優れているだけではない。装飾もなかなかの見どころである。ローターは自動巻きブリッジと同じくサンレイ仕上げ、ほかのブリッジもペルラージュで飾られている。ブリッジや地板はすべてロジウムメッキされ、エッジは面取りされている。艶やかに磨かれたネジ頭も美しい。ケースバックがトランスパレント仕様になっていないのが残念なほどだ。しかし、このモデルがメカニズムを鑑賞できるスタイルを選んでしまったなら、全体的に外観のバランスがやや整わないはずだ。ムーブメント鑑賞という愉悦を断念せざるを得ないものを、上がり時計に選出するか否かは、各人悩むところだろう。 |
しかし〝上がり時計〟という存在そのものは、ひとつの金字塔のようなものである。実際には、その定義すら危うい。完璧な時計など存在し得ないからというわけではなく、人はいつだって別の時計に目移りして、手に入れるまで惚れ込み、心奪われ続けるものだからだ。それでも究極の1本とするならば、日付表示とトランスパレントバックに踏ん切りを付けられさえすれば、やはりオイスター パーペチュアル 39は良い選択だろう。時代を超えて通用するデザイン、控えめなサイズ、そして優良に組み立てられた頑丈な自動巻きムーブメントは、毎日の装備品として頼もしい限りである。