ムーブメントの観賞も可能
今回のモデルを、同じナビタイマー01でも43㎜のものと比べると、サイズ以外にも違いがあるのに気づくだろう。46㎜のモデルはケースバックがトランスパレント仕様になっているので、自社製の自動巻きキャリバー01をじっくり観賞することができるのだ。今までのナビタイマー 01では、限定バージョン以外はステンレスの裏蓋でがっちり遮られ、メカニズムは見られなかった。その裏蓋には温度の摂氏から華氏への換算用の目盛りが刻まれていたのだが、それが必要となることはめったにないし、いちいち腕から外して見るのも使い勝手が良いとは言えない。むしろムーブメントを眺められるほうがよいだろう。このようにトランスパレントバックの利点ははっきりしているが、中で駆動するのは43㎜モデルと同じくキャリバー01だ。
このふたつのモデルをそれぞれ腕にはめてみると、どちらもよく整えられていて、年の近い兄弟のように見える。そして、すぐにさまざまな違いが目につくはずだ。もっとも、これはあからさまな違いというより、いささか通好みによるところの違いかもしれない。
手の掛かり具合のクォリティから言うと、どちらも同じく水準は高い。ケースの磨きは良好で、あまり目につかないような箇所までしっかり磨かれている。文字盤にプリントされた目盛りはきっちりと精密。プッシュボタン、リュウズ、ベゼルのそれぞれにがたつきはなし。裏蓋のサファイアクリスタルは実にぴっちりはめ込まれている。膨らみを持たせて磨き込んだ針とバーインデックスには手抜かりが全く見当たらない。
ところが回転ベゼルに備えられたパッキンはひとつで、防水性は3気圧。これはナビタイマー最大の弱点と言っていいだろう。つまり水泳やシャワー時には、腕から外さないといけない。もっとも、レザーストラップ付きの時計をはめて、どうしても水に飛び込みたいというユーザーもいないだろう。
さらなる弱点もなきにしもあらず。クロノグラフにスタート、ストップを掛けるとき、プッシュボタンの最初のひと押しに相当な力が要るのだ。これはスタート時のコラムホイールの動きを経由して、リセットハンマーがハートカムから離れるようにするために、ハンマーに加わる力の割合が並々ならぬものであるためだ。コラムホイール制御によるクロノグラフの場合、ここまでの力が掛かるのはよくあることとは言えず、トラディショナルな制御法であるコラムホイール式では、もっとすんなりと滑らかな押し心地になるものだ。それでもこのモデルは、ストップ時とリセット時はスタート時よりかなり指への負担が少ない。
そのほかの操作性について言うと、回転ベゼルの動きはスムーズ、リュウズはつまみやすく、引き出し感も良好、ストップセコンドと日付のクイックコレクト機能が備わっているため、針合わせも日付合わせも楽に行える。唯一、リュウズを巻き上げることに関しては、リュウズがケースにかなり密着しているためにやりづらい。まあ、自動巻きなので、巻き上げる機会はさほどなかろう。それに、ナビタイマー 01はパワーリザーブが長めなのだ 。完全に巻き上がった状態だと、約70時間の持続力がある。つまり、金曜日の夜に外して机の上に置きっぱなしにしていても、月曜日の朝、そのまま使えるというわけだ。