耐磁性がものをいう
外からは検分できないのはムーブメントだ。これに関しては特に訳がある。というのも、中の機械は軟鉄製のインナーケースに格納され、磁界から遮断されているのだ。これも50年以上前にジオフィジックが登場した時と同じだ。その当時でも、磁気の影響は機器類を扱う研究者だけの問題ではなく、今日のように日常生活上でも注意すべきことだった。精度が思わしくないという理由で時計師のもとに運ばれてくる時計の多くは、磁気を帯びてしまっているが、磁気を抜くと再び好精度に戻るものだ。
ねじ込み式の裏蓋には、ジャガー・ルクルトのイニシャルが、国際地球観測年のマークである経緯線入りの地球の上に美しく彫られている。さらに、世界800本限定であることと、防水性が10気圧の高さであることも記載がある。ただし、エレガントなアリゲーターストラップは水泳用のものではないため、海水に濡れたら傷んでしまうだろう。すっきりと整いの良いストラップは、縁をくるんで糊付けしてあり、セミボンベスタイルといったところ。機械縫いのため、縫い目は規則正しく続いている。裏側に当てられているのは水牛革。これはよく見かける裂き革よりは汗がこもらない。肌当たりも柔らかだ。時計本体の重さが抑えめになっているのと、ストラップが広めの幅に作られていることで、装着感を高めているようだ。
ストラップの留め具が尾錠式であるのも、大きく縦幅を取るフォールディングバックルより快適に感じる。他のジャガー・ルクルトのモデルと同様に、尾錠はロゴ入りだ。サテンと鏡面を組み合わせ、ケースとの均衡も良くすっきりと仕上がっている。細かいことを言うならば、ルーペを通して見ると、裏側についてだけは磨きが物足りなく感じないでもない。あと一歩踏み込んでほしいところだ。