【83点】オリス/アクイス デプスゲージ

2013.10.03

(右上)水中で検証すると、オリス アクイス デプスゲージの水深計が約25mを示す一方、ダイブコンピューターは24.7mを表示している。ごくわずかな差がアクイス デプスゲージの水深計の正確さを証明する。
(左)アプネアとも呼ばれるフリーダイビングは、ひと呼吸でどれだけ海深く潜れるかを競う競技である。オリスの水深計がその本領を発揮する場所だ。フリーダイビングにはさまざまな方法があり、フィンを着用して潜降するウィズ・フィンと素足で潜るウィズアウト・フィン、あるいは、ノー・リミットと言われる危険な潜水競技もある。ノー・リミットでは、ザボーラと呼ばれる乗り物(訳注:錘)に乗って潜降し、エアバルーンに空気を注入して再び浮上する。

扱いやすく傷に強いベゼル

風防と一体型の水深計は機能的で有意義な付加機能だが、回転ベゼルもまた、アクイス デプスゲージを秀逸なダイバーズウォッチたらしめる重要な要素となっている。テストダイバーが称賛したように、この逆回転防止ベゼルはとても扱いやすく、回すのに少し力が必要なものの、30秒刻みでクリーンに噛み合う。ベゼルのブラックセラミックトップリングにはサテン仕上げが施されており、美しさを演出するだけでなく、表面の美観を損ねる傷を防止する効果も併せ持つ。実際、実地テストを行った後で確認したところ、部分的にポリッシュ仕上げが施されたバックルには明らかな傷跡があったが、ケースには傷が見当たらなかった。刻み目付きの回転ベゼルは同時に保護機能も有しているのである。

視認性も良好で、ベゼルの夜光マーカーは針やインデックスと同様に暗所でもはっきりと発光し、光が減少する潜水中も潜水時間と時刻を迅速に把握することができる。オリスによる深度表示目盛りのさらなるメリットは、見やすく構成された文字盤を阻害する針を必要としない点である。

リュウズも簡単に操作することができ、ネジ留めされたリュウズプロテクターによって、衝撃が加わった場合でも安全が確保される。風防側面には水深測定のための溝が彫られているが、ねじ込み式裏蓋、厚い風防、そして、ねじ込み式リュウズの恩恵により、ケースは水深500mの水圧に耐える防水性を備えている。ダイビングには十分余裕のある防水性であり、10mの飛び板から飛び込んでも問題ない。

ラバーストラップを延長できるのは非常に有益である。フォールディングバックルにはバックルを開くための2個のセーフティーボタンのほかに、プッシュボタンが2個、追加装備されており、これらを操作することでストラップは4段階で最大約16㎜延長することができる。そのうえ、バックルにはピンが付いており、これを留めるラバーストラップの穴を変えることで、ストラップをさらに4㎝まで延長できるようになっている。このエクステンション機能を利用すれば、かなり厚みのあるドライスーツでもストラップの長さを合わせることができる。オリスの配慮はこれだけではない。ストラップの先端はイカリ型に成形加工されており、この部分を両側から押し縮めないとストラップがバックルから外れないようになっている。そのため、バックルのふたつのピンがストラップの穴から外れても時計が滑り落ちることはない。もっとも、ピンが穴から外れることは十中八九、起きないが。アクイス デプスゲージのセットにはこのほか、交換用ステンレススティール製ブレスレットと、ストラップを交換するための工具としてドライバーが同梱されている。

アクイス デプスゲージは、機能上、ダイビングに極めてふさわしく、がっしりとしたデザインによってひと目でダイバーズウォッチであることが分かる時計である。ネジ留め式の堅牢なラグ、ダイバーベゼルのサテン仕上げのブラックセラミックトップリング、水深を表示する黄色のメートル目盛り、そして、黒のラバーストラップが、この時計に非常にスポーティーな印象を与えている。その一方で、46㎜という堂々たるケース径にもかかわらず、アクイス デプスゲージはそれほど巨大には見えない。また、サイズが大きいことで着用時に不快感が生じることもない。ケースから伸びたラグと、長さを細かく調整できるフレキシブルなラバーストラップの恩恵により、驚くほどしっかりと手首に収まるのだ。ケースバックがなめらかであることと、バックルの下にラバーストラップの端部が収まっていることも、快適な装着感に貢献している。加工品質もなかなかのもので、隅々まで丁寧に仕上げられている。ただ、ラグの内側のみ、加工の痕跡が見られるのが残念だ。
メートルとフィートの換算表が刻印されたねじ込み式裏蓋の下では、セリタ製自動巻きムーブメントが時を刻む。オリスの象徴であるレッドローターでチューンアップされているが、セリタSW200は信頼性の高いETA2824の代替ムーブメントであり、堅固で扱いやすい構造を持つことで知られている。歩度測定機で行ったテストでも、それぞれの姿勢でプラス1秒/日からプラス5秒/日というプラス傾向の日差を示し、計算上の平均日差はわずかプラス2・5秒/日と、優秀な結果でその実力を証明してみせた。振り角もすべての姿勢で力強く、安定していた。