【82点】ショパール / クラシック マニュファクチュール

2012.12.03

2006年、ショパールが自社開発した同社初の一体型クロノグラフムーブメントCal.L.U.C 10CF。その設計を転用し、クロノグラフ機構を取り除いて2010年に発表したCal.FE151から数えて3代目にあたるのが、このCal.01.04-Cである。ショパールの基幹キャリバーとして、今後の展開が期待される。

構築に優れたムーブメント

さて、その構造だが、L.U.Cの特徴であるマイクロローターとツインバレルは装備していない。そのためパワーリザーブは70時間に届かないが、平均約60時間は保持している。センターローターは、同社のマイクロローターのものと似た切り替え車を採用した両方向巻き上げ式。緩急針には、L.U.C同様にトリオビスが使われている(一部のL.U.Cムーブメントにはスワンネック緩急針も使用)。
だが、L.U.Cの96系キャリバーよりも改善されている部分もある。それにはストップセコンド仕様になっている点や、ローターに磨耗を抑えるセラミックベアリングが採用されている点などが挙げられる。
また、サファイアクリスタルを使用したトランスパレントバックを通して、キャリバー01・04︲Cが目を愉しませてくれるのもうれしい。ネジの頭が鏡面に磨き上げられている様も見目麗しい。ブリッジのエッジは鏡面研磨仕上げにまではなっていないが、面取りは施されている。肉抜きされたローターや、ブリッジに入れられたサンバースト研磨は穏やかな輝きを見せる。ただし、ローターとブリッジは、存在感をもっと前面に押し出すくらいのほうが、より美しく映えるだろう。

総合すると、このムーブメントはETA製のものよりもL.U.Cムーブメント寄りの品質に出来上がっている。それでもなお惜しいのは、このムーブメントが、むしろ明らかにエコノミークラスであることに徹しきれていないところにある。例えば、L.U.CシリーズのモデルのひとつであるXPSなどは、日付表示はないものの、今回のテストウォッチ同様に自動巻きムーブメントをローズゴールドケースに収めているが、価格は154万3500円とそれほど極端な差はない。だが、XPSはC.O.S.C.認定クロノメーターだ。クラシック マニュファクチュールはコストパフォーマンスでハンデがあると言わざるを得ない。
とはいえ、上質な外装と心地よい装着感を備えた、奥ゆかしい気品が薫る1本であることには違いない。それは新キャリバーの構築と化粧仕上げの良さからもうなずける。それでも、少量生産のL.U.Cモデルに対して、ある程度の数が作られる、ややリーズナブルなムーブメントによる新カテゴリーというコンセプト自体には、全面的には納得しかねるものがある。ひょっとすると、今後スティールモデルにはっきりと路線変更していくということも、考えられるのではないだろうか。
ショパールという庭園に設けられた新たな花壇に咲く花は、毎シーズン同じ色であるとは限らないのだ。