【84点】ジャガー・ルクルト/マスター・コンプレッサー・ダイビング・オートマティーク・ネイビー・シールズ

2011.09.03

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SS製スリーピース構造、4カ所ネジ留め式ケースバック、ねじ込み式リュウズ。
ラグ下端のややとがった部分を除けば、ステンレススティールケースの作り込みには非の打ち所がない。セラミックス製ベゼルは品質が高く、クリーンにしっかりと噛み合う。

良好だが気まぐれなエンジン

黒いガルバニック仕上げの文字盤の下では、ジャガー・ルクルト製キャリバー899が時を刻んでいる。これは、定評のある名高いキャリバー889/2がさらに進化した基幹ムーブメントである。キャリバー889/2は、ジャガー・ルクルトの時計にはすでに搭載されていないが、例えば、クロノグラフモジュールのベースキャリバーとしてオーデマ ピゲが手を加えた上で、ロイヤル オーク オフショアにおいて同社のキャリバー3120とともに今でも採用されている。テンプの振動数が異なることが両者の違いで、キャリバー3120は2万1600振動/時なのに対して、ジャガー・ルクルトのキャリバー889/2は2万8800振動/時である。ネイビー・シールズに搭載されているキャリバー899も2万8800振動/時だ。先代のキャリバー889/2に比べ、キャリバー899はさまざまな点が改良されている。

セラミックス製ボールベアリングで支持されたローターはメンテナンスフリーで注油の必要がなく、片方向に巻き上げる。ローター回りの輪列は新たに開発され、特殊な形状に歯切りされた歯車には作動時の摩擦を抑える効果があり、巻き上げ効率も向上した。また、香箱のサイズが大きくなり、基本輪列も設計し直された。歯形が最適化されたことでエネルギーの伝達効率が向上し、バックラッシュも小さくなったために動力の伝達ロスも減少した。パワーリザーブを約43時間に延ばすことができたのは、その恩恵によるものだ。微調整はテンワに取り付けられた4個のバランスウエイトで行われ、ヒゲ持ちとヒゲゼンマイはレーザー溶接されている。これらの改良点が結集すれば、これまでになく高い信頼性と安定した精度が実現しているはずである。その上、他のマスター・コンプレッサーと同様に、今回のテストウォッチもジャガー・ルクルトが独自に行う1000時間コントロールテストをクリアしているとなれば、いやが上にも期待感は高まる。