【80点】ブライトリング/スーパーオーシャンII

2010.09.03

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外観も技術面も調整されたETA2824ベースのCal.B17はこの上なく正確に作動する。

光輝を放つもの

ブライトリングのダイバーズウォッチシリーズ、スーパーオーシャンが生まれてから、すでに50年以上が経つ。パイロットウォッチを得意とするブランドとしてすでによく知られていたブライトリングがダイバーズモデルの1号機を発表したのは、1957年のことである。初代スーパーオーシャンは、シェル構造のケースと極めて強靭な風防の恩恵により、200mの防水性を備えていた。スーパーオーシャンが、職業ダイバーや海軍の兵士の手首からアマチュアダイバーの腕へと活躍の場を広げていくのに、それほど時間はかからなかった。
歴史的な初代スーパーオーシャンをもっとも忠実に再現したモデルは、2007年にリリースされたスーパーオーシャン・ヘリテージ46である。アラビア数字インデックスを廃した控えめな文字盤に、先端が三角形の時針、刻み目の付いた幅の広いベゼルに5分ごとに配された分目盛り、そして200m防水を備えていたことなどが、注目すべき共通点である。

スーパーオーシャン・ヘリテージ46でヴィンテージモデルのコンセプトを明確に打ち出したブライトリングだが、今回の新作スーパーオーシャンIIでは造形の新領域に挑戦している。小さなバーインデックスが静かに座っていたアワーマーカーの場所では、特大のアラビア数字インデックスと蓄光インデックスが元気よくはしゃぎ回っている。逆回転防止ベゼルにはラバーリングが装着され、今回初めて大きな数字が15分置きに配されている。また、中央部をレリーフ状に隆起させたシンプルなラバーストラップも、新作に合わせて新しくデザインされたものである。“ダイバープロ”と呼ばれるこのストラップは、インパクトのある穴開きストラップ、“オーシャンレーサー”に続く選択肢として、ストラップの仲間に加えられた。

光がなければうまく機能しない

スーパーオーシャンIIの防水性は、ねじ込み式リュウズ、強靭なサファイアクリスタル製風防、気密性の高いねじ込み式裏蓋の恩恵によって極めて高く、理論上はこの時計を着けたまま水深1500mまで潜水できることになっている。しかし、実際には日光の届く所までが潜水できる限度である。スーパーオーシャン・ヘリテージと同様に、回転ベゼルには蓄光塗料を塗布したドットインデックスがなく、暗所での潜水時間を確認することができないからだ。光の条件を別にしても、ベゼルには1分刻みの目盛りが付いていないので、ダイバーは潜水時間を正確に計ることができない。
ダイバーベゼルとしての機能に不足があることは、ブライトリングにとって承知の上である。太字のアラビア数字を4つ配してデザインに調和を与えるために、あえてこの点を甘受したのだ。ブライトリングはスーパーオーシャンIIを、サーフィンやレクリエーションダイビング、また人命救助など、水面近くでの活動に相応しい堅牢なアイテムとみなしている。とは言え、職業ダイバーがどうしてもこの時計を潜水艇に持ち込みたい場合に備えて、自動減圧バルブが装備されおり、潜水ベルで浮上する際には時計のケースを破損しないようにヘリウムガスを逃がすことができるようになっている。

ブライトリングの開発者とデザイナーの意図に敬意を表し、スーパーオーシャンIIを素晴らしく堅固なスポーツ兼デイリーウォッチとして観察してみよう。すぐに、多くの長所に気づくだろう。直径42mmの大きなステンレススティールケースは、高い防水性を備えていることは言うに及ばず、噛み合いの良好な逆回転防止ベゼル、ハイレベルなポリッシュ仕上げ、ケースバックにエングレーブされたブランドロゴの贅沢なレリーフなど、ブライトリングの品質を証明する数多くの特徴を見出すことができる。ベゼルにはブラックラバーがモールド成型されており、サテン仕上げの数字やインデックスと表面の高さが同じになるまで、丁寧に研磨されている。加工品質においてはまったく非の打ち所がないのだが、ラバー部分に埃が付きやすく、金属製のインデックスに傷が付きやすいことは否めない。ケースの側面や大きなバックルも、鏡面仕上げの精度が高いだけに傷が目立ちやすいことは確かである。
小さな傷が付くことを除けば、バックルは機能的で扱いやすい。堅牢な構造で、ロックもきちんと噛み合い、2個のセーフティーボタンによって安全に開くことができる。また、内側に内蔵されたエクステンションを指で押し出すと、ストラップを9mm延長できる。日常的に使用する場合は素早く長さを調節できるので非常に便利だが、ダイビングスーツの上から着用するにはエクステンションを出しても長さが足りない。このことからも、スーパーオーシャンIIの守備範囲が主に砂浜や浅瀬であることがわかるだろう。