【84点】IWC/アクアタイマー・オートマティック2000

2010.01.03

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シンプルで素早く操作でき、かつ安全な新型ブレスレット交換システム。サテンとポリッシュのコンビ仕上げの尾錠は、無垢材から削り出し加工した幅の広いツク棒を備えている。

IWCではダイバーズウオッチのデザインがよく変わる

このモデルには、ブレスレット交換システムが装備されている。作りが極めて美麗で、ブレスレットを素早く簡単に交換できるこのシステムは、カルティエの特許技術が進化したものである。ストラップを交換するには、裏側のレバーを押して、ケースから外す。すると、ストラップの接合部は固いメタルパーツもろとも、ラグから下方へと取り外すことができる。この賢い解決策は極めて堅牢で、過酷な環境下での使用に耐え、しかも安全である。
レバーが装着性を損ねることはない。優れた装着感はとりわけ、柔らかいストラップとアーチ型に成形された堅牢な接合部によって実現している。アクアタイマー・オートマティック2000は、防水性が高いわりに薄く仕上がっているため、44mmという堂々たる直径にもかかわらず装着感はとても良い。
IWCのダイバーズウォッチは、パイロットウォッチに比べるとデザインの上で大胆な進化を遂げている。とはいうものの、文字盤のレイアウトは1997年のGSTアクアタイマー以来のものであるし、黄色い分針と回転ベゼルの黄色い15分目盛りというカラー・コンビネーションは、2004年にリリースされた直近の先代モデル、アクアタイマー2000で導入されたものだ。最新モデルでは、とりわけ時針がより幅広く、長くなってモダンな印象を与える反面、IWC特有のキャラクターはやや抑制された感がある。だが、最新作では文字盤の仕上がりが今までよりもずっと丁寧だ。蓄光塗料を塗布したアプライドインデックスはシルバーで縁取られ、文字盤から浮き上がるように君臨しており、黄色いミニッツインデックスも、一段高くなった部分にプリントされている。コストがかかっているばかりか、高級感溢れる外観だ。回転式アウターベゼルの上にある数字のタイポグラフィーは、67年の初代アクアタイマーで採用された数字を当世風に解釈したデザインであり、丸みを帯びたアクアタイマーのロゴと共に、“水”と“ダイビング”というテーマによくマッチしている。ラグは、ポリッシュとサテンでコンビ仕上げを施した面が効果的だ。

47万2500円という価格は妥当な設定である。この価格を支払えば、高いクラフツマンシップ、傷に強い回転式ダイバーベゼル、卓越したブレスレット交換システム、そして高い防水性を手に入れることができるのだ。これらはすべて、生産コストを惜しんでは実現しない要素である。
アクアタイマー・オートマティック2000は、シャフハウゼン産の他のモデルのように、IWCらしさをひと目で認識できるモデルとは言い難い。その代わり、ふたつの先代モデルがここでは融合している。つまり、1000m防水のブラックとホワイトのエレガントなステンレススティールモデル、そして防水性が倍でプロ仕様のイエローとブラックのチタンモデルという、ふたつの時計の要素が1本に凝縮されているのである。結論を言えば、新作アクアタイマーは水中でも陸上でも、スタイリッシュに着けこなすことができる時計なのだ。

■スペック
製造者:IWC
Ref.:IW356802
機能:時、分、秒 (ストップセコンド仕様)、日付
ムーブメント:Cal.30110(ETA2892ベース)、自動巻き、2万8800振動/時、21石、耐震軸受(インカブロック使用)、エタクロン式緩急調整装置、グリュシデュール製テンプ、パワーリザーブ約40時間、直径25.6mm、厚さ3.6mm
ケース:SS製、両面無反射コーティングのサファイアガラス、サファイアガラス製回転式アウターベゼル、SS製ねじ込み式裏蓋、200気圧防水
ストラップとバックル:ラバーストラップおよびSS製尾錠、ブレスレットクイック交換システム
サイズ:直径44mm、厚さ14mm、総重量147g
バリエーション:ステンレススティール製ブレスレット
価格:47万2500円
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

■精度安定試験 (日差 秒/日、振り角)
文字盤上 +5
文字盤下 +1
3時上 +3
3時下 +3
3時左 0
3時右 +4
最大日差: 5
平均日差: +2.7
平均振り角:
水平姿勢 298°
垂直姿勢 275°