長年の人気を支えたコンセプトは、これからも不変。
ガラスの裏蓋を外すと、すぐには目に入らないようなムーブメント固定のためのネジすらも光沢鮮やかに磨き上げられている。パーツの仕上げの工程では、一部を簡略化するようなことなくすべてスタイリッシュに作られていることがよく分かる。ゴールドのスケルトナイズローターも、動力源という役割の武骨さを感じさせないほど美しい。
ケース直径38mmというサイズも今やほとんど古典的といっていいだろう。手首が太くがっしりした人であればもの足りない感じがあるかもしれないが、大抵の人には77gという重さの心地よさは忘れ難い印象を残すはずだ。クロコダイルストラップも丁寧に仕上げられ、手首にすんなりなじむ。尾錠に入れられたロゴも心憎い。こんなところにまで技術の確かさが発見できるのはやはりうれしい。
36万7500円という価格は飛びつきやすい金額ではないかもしれないが、ディテールの細部にまで手をかけた仕上げの高さと、良い意味でのアナクロニズムを目と体で感じてしまうと、理に適っていると思える。このモデルを所有するということは、あらゆる点で他にはない良さを味わえるということなのだ。
「レギュレーター」は発売から19年経った。人間でいえばティーンエイジャーに終わりを告げる時代にさしかかったが、20代に突入するこれからもまだまだ新鮮さを保ち続けるだろう。時計技術が急速に進歩している昨今、表情は少々の化粧直しで変わることがあるかもしれないが、大筋の部分はそのまま変わらないように思える。数多くの亜流がある中においても、このモデルは威光を保っている。今後もベースムーブメントのストックがある限り、カタログから消えずに存在し続けるだろう。
スペック
製造者:
クロノスイス:Munchen/Germany
Ref.:
CH 1223
機能:
時、分、秒(レギュレーター配置)
ムーブメント:C.122(自動巻き、ベースキャリバー:エニカ165)直径26.80mm、厚さ5.30mm、振動数2万1600/時、グルシドゥア・スムーステンプ(三叉アーム式)、平ヒゲゼンマイ(ニヴァロックス1使用)、耐震軸受(インカブロック使用)、マイクロメーター緩急調整システム、30石、パワーリザーブ約40時間
ケース:
SS製、サファイアガラス、シースルーバック(スクリュー式)、3気圧防水
ストラップとバックル:
クロコダイルストラップ、SS製尾錠(ビス留め式)
精度安定試験:
(日差 秒/日、振り角)
文字盤上 +10
文字盤下 +4
3時上 +2
3時下 +13
3時左 +8
3時右 +7
最大日差 11
平均日差 +7.3
平均振り角:
水平姿勢 295°
垂直姿勢 272°
サイズ:
直径:38.00mm、厚さ:10.50mm、総重量:77g
価格:
36万7500円
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。