【78点】オリス/レギュレーター マイスタータウハー

2017.11.24

 ”マイスタータウハー”とは、ドイツ語で職人芸に達するほどの技術を持った潜水の達人を表している。その名前が示すように、このモデルはプロフェッショナル用ダイバーズウォッチに分類され、時、分、秒が個別に表示されたレギュレーター文字盤が特徴的だ。

 現在、腕時計にも導入されているレギュレーター文字盤というものが、極めて正確な大型時計に由来していることを知っている読者もいるだろうが、ここはひとつ、なぜオリスでダイバーズウォッチにレギュレーター文字盤を使うことにしたのか、今一度考察してみたい。

 その理由はやはり明瞭な視認性にある。ダイバーズウォッチにおいて肝心なのは潜水時に何分経過したのかがはっきり分かることであり、視線はおのずと分の表示に向く。その際、各表示が分離していると見やすく、経過時間の把握も容易になるだろう。

 マイスタータウハーは、明瞭な文字盤とともに、傷に強いセラミックス製の逆回転防止ベゼルや自動的に作動するヘリウムガスエスケープバルブ、調和のとれた夜光ポイントを備えていて、これらはすべて高機能のダイバーズウォッチとしてふさわしい出来だ。それに加えて、クラスプはとても頑丈でしっかりとフライス加工されている。このクラスプはオリスのオリジナルで、開閉用のふたつのボタンの他に、さらにストラップ調節用のふたつのボタンが付いている仕様だ。これによりストラップは4段階で最長16㎜延長できるようになっている。

 いかにも丈夫そうなラバーストラップは、実用に即して安全性と機能性が向上した作りだ。ストラップの一方の末端が矢印のような形状になっているので、万が一にもクラスプとの連結部分が外れてしまうようなことがあっても、ストラップが容易に抜け落ちることはない。

 この時計に格納されているのは、オリス用に手を加えられたセリタの自動巻きキャリバーSW220-1。赤いローターを載せたこのムーブメントは、レギュレーター構造に改良されており、カレンダーもすっきりと日付の表示のみ。ムーブメントを包んでいるのは、直径43.5㎜と大型かつ30気圧防水のチタン製アクイスケースだ。ところで、このケースはサイズが今年から明らかに小さくなり、よりエレガントに仕上がっている。2012年のクロノスドイツ版のスペックテストで取り上げた限定版ダイバーズウォッチのトゥバタハモデルと比べると、トゥバタハモデルは直径が46㎜、厚さは16.5㎜の堂々たるサイズ。対して今回のテストモデルは厚さも12.7㎜と全体的に小ぶりに抑えられているが、その分、防水性能も50気圧から減って30気圧となっている。