【84点】ブライトリング/ナビタイマー 8 B01 クロノグラフ 43

2018.10.20

最新型ながらもレトロな外観。プッシュボタンの形状や刻みを細かく入れたベゼル、数字のフォントが往年のパイロットウォッチの雰囲気を醸し出している。

 パイロットウォッチとして愛好者が多いナビタイマーには、これまで欠かすことができないふたつの機能があった。それはクロノグラフとお決まりのナビゲーション用計算尺の備わったベゼルだ。しかし、我々クロノスドイツ版編集部は考えを新たにせざるを得ない。というのもブライトリングは2018年の新作で、ナビタイマーからクロノグラフを外したり、計算尺を取り払ったりしたのだ。これはかつてIWCで辣腕を振るった、ブライトリングの新たなCEOジョージ・カーンが推し進めている方針に関係している。従来、ブライトリングはなんといってもパイロットウォッチで成功してきたブランドだ。カーンはそれに加え、エレガントなモデルやレディスモデルの拡充を図りたいと考えている。その主力として選んだのが、幅広いラインナップのナビタイマーである。ブライトリングはナビタイマーのコレクションを増やしていくことで一気に勢いをつけたいようだ。クラシックなナビタイマーも引き続き作ってはいくものの、今までとは全く異なるタイプも加えられた。それが今回のテストに取り上げたモデルだ。

 新たなコレクションのナビタイマー8は、その名を1938年に創設された部署「ユイット・アビエーション」(フランス語で〝8〟と〝飛行〟の意味)から取っている。当時のブライトリングは、パワーリザーブが約8日間の航空計器盤用ウォッチをとりわけ製造していたのだ。それだけでなく、8という数字はこれから拡大していきたい中国市場を意識したものでもある。8は中国では縁起の良い数字なのだ。

気品漂うデザイン

 今回のテストウォッチにはインナーベゼルがなく、回転計算尺の細かい目盛りもないので、古典的なナビタイマーと比べてより一層エレガントに映る。ベゼルは鏡面に磨かれ、同様に針も艶やかに仕上げられており、気品を高めている。クロノグラフのプッシュボタンや文字盤のフォントはレトロなタッチだ。ディテールに凝り、文字盤外周に沿って5分おきに三角のポイントを置いた分の目盛りは、歴史的な計器盤クロノグラフのデザインから受け継いでいる。今回はブレスレットタイプを取り上げているが、コントラストのはっきりしたステッチ入りのクロコストラップをオーダーすれば、往年のパイロットウォッチの雰囲気がより高まるだろう。

 さて、時計に目をやるとすぐさま、ロゴマークが新しくなっていることに気付く。プロのパイロットやダイバーの装備品でもあることを強調する翼と錨が消えているのだ。おっとりしたレトロデザインの同作には、こちらのほうがよく合っている。

 次にルーペで観察してみると、文字盤には放射状にサンレイ仕上げが施され、サブダイアルにはレコード盤のように溝が付けられているのが分かる。ここまではいいのだが、スモールセコンドや積算計の目盛りは完璧とまでは言えない。プリントの中心がわずかにずれて縁に寄っている。

 デザイン上の問題はカレンダーの小窓にも見受けられる。日付表示は文字盤上の内側に寄って置かれているように見えるが、この新モデルのムーブメントは、これまでナビタイマーが使っていたキャリバー01から変更されていないので、日付表示はこれまでのモデルと同じ位置にある。しかし、従来設けられていた回転計算尺がないため、文字盤の縁側にはその分の空間が生じてしまう。結果、ケースとの距離感が出てしまうのだ。