5年間でさまざまな進化を遂げている「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」その足跡を追いかける

2023.12.18

1875年に創業したオーデマ ピゲ。現在も創業ファミリーが経営に関わるという伝統的なマニュファクチュールだが、常に進化を続けるブランドでもある。そんな進取の気性に富むオーデマ ピゲの、次世代のマスターピースとなるのが、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」だ。デビューは2019年だが、すでにこの5年間でさまざまな進化を遂げている。その足跡を追いかけてみよう。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ

(左)CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ
タキメーターをインナーベゼルに入れることで、ドレッシーな雰囲気をそのままキープ。しかし見返し部分に細かい目盛りを入れることで、計測機器としてのポテンシャルはしっかり高めている。自動巻き(Cal.4401)。40 石。2 万8800振動/ 時。パワーリザーブ約70時間。SS×セラミックス(直径41mm、厚さ12.6mm)。30m防水。467万5000円(税込み)。
(右)CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
スモークベージュのダイアルでニュアンスをつくり、ブラックセラミックス製のミドルケースがコントラストの強い輝きを表現する。さまざまな個性が詰まった、眺めていても楽しい腕時計だ。自動巻き(Cal.4302)。32石。2万8800振動/ 時。パワーリザーブ約70時間。SS×セラミックス(直径41mm、厚さ10.7mm)。30m防水。368万5000円(税込み)。
奥山栄一:写真
Photographs by Eiichi Okuyama
篠田哲生:編集・文
Edited & Text by Tetsuo Shinoda


「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」進化の足跡

 2019年のSIHHで発表された「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」(以下CODE 11.59)はセンセーショナルな存在だった。名称の由来は、Challenge(挑戦)、Own(継承)、Dare(追求心)、Evolve(進化)の頭文字をつないだもの。オーデマ ピゲの規範(コード)を継承するという意味も含まれる。そして11.59とは新しい1日が始まる直前の午後11時59分の意。CODE 11.59は、オーデマ ピゲを次のステージへと押し上げる新コレクションなのだ。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ

2019年「 立体造形ケース」
ラウンドのべゼルとケースバックの間に八角形のミドルケースを挟み込む3層構造が、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」の特徴。さらにダブルカーブのサファイアクリスタル風防の不思議な視覚効果も話題となった。

 しかしさらに驚くべきは、翌年以降も続いた新作ラッシュだった。しかも単純なバリエーションの追加ではない。ダイアルやケースの構造を読み解き、特徴を引き出し、さらなる進化を遂げている。

 まず2020年に登場したのは、艷やかなラッカー仕上げのグラデーションダイアル。これはベゼルをギリギリまで細くすることで実現した大きなダイアルの表現力を生かすテクニックだ。さらにオーデマ ピゲのアイコニックなデザインである八角形のミドルケースの素材を変えて、ゴールドのコンビネーションケースにすることで、より立体感を引き出すことに成功した。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ

2020年「グラデーションダイアル」
繊細なサンバースト仕上げのダイアルにスモーキーなラッカー仕上げを施した。カラーバリエーションはブルーをはじめ、バーガンディやパープルなど全5色をラインナップ。インナーベゼルをブラックにして、締まった印象にまとめた。

 21年は、ミドルケースをブラックセラミックス素材にするという、バイマテリアルケースを提案。異なる光沢を組み合わせることによってCODE 11.59の個性を深めた。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ

2021年「バイマテリアルケース」
2020年の18KPG×18KWGのコンビに続いて、ゴールド×ブラックセラミックスのバイメタルケースが登場。CODE 11.59のケース構造だからこそ可能な表現力と、それを実現させるオーデマ ピゲの技術力をまざまざと見せつけた。

 そして23年は、ステンレススティールケースが登場した。ゴールドよりもはるかに硬い素材で、CODE 11.59の立体的なケースやラグを切削するというのは、ブランド史上最高難度だったという。さらに、ダイアル装飾をスタンプ加工にすることで、新たな光の効果を加えた。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ

2023年「SSケース&新型ダイアル」
貴金属ケースのみだったCODE 11.59にステンレススティールケースモデルが誕生し、さらに実用性を高めた。加えて、センターに行くほど凹凸が小さくなる繊細なダイアル装飾は、スタンプ加工で表現されている。

 CODE 11.59は、ひとつの規範の中でさまざまな個性を表現しており、躍動する名門オーデマ ピゲの勢いをさらに強く感じることができるだろう。しかも、23年後半にはさらなる新モデルが登場。その詳細は次ページで語っていこう。


38mmケースの「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」がデビュー

 2023年に登場したステンレススティールモデルのCODE 11.59だが、新作はそれだけではなかった。既存の41mm径と42mm径に加えて、小ぶりな38mm径サイズを追加。ダイアルカラーはアイボリーとパープルの2色。女性が好みそうだが男性も楽しめるユニセックスモデルだ。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック
やや小ぶりな直径38mmケースを採用。搭載ムーブメントは、2022年発表のCal.5900。インデックスはステンレススティールモデルと同じく、すべてバーインデックスに。また針もステンレススティールモデルと同様に蓄光処理を施すスタイルに。自動巻き(Cal.5900)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。18KPG( 直径38mm、厚さ9.6mm)。3気圧防水。440万円(税込み)。

 2019年にデビューしたCODE 11.59は、繊細なベゼルとバックケースの間に八角形のミドルケースを挟み、ラグは肉抜き形状にして立体感を強調するという革新的なデザインで、当初から人気を集めた。その購入者の多くが新規顧客だったというから、次なるマスターピースをつくるという目論見が成功したことは間違いない。

 統一されたデザインコードの中で、進化を重ねながらバリエーションを増やしていくという戦略も秀逸。同社の「ロイヤル オーク」と同じく、デザイン自体をアイコン化することで認知度を高め、高級時計市場により深く浸透させていこうとしているのだ。

 さらにそのターゲットを広げるべく、23年10月に、初のサイズバリエーションとなる直径38mmモデルが登場した。これまで採用していた41mmや42mmのケースは、ベゼルが細いので着用しても大きさを感じさせない。しかしサイズレンジとしては、男性用となるだろう。そこに、やや小径の直径38mmというユニセックスサイズを加えることで、ユーザー層の拡大を狙っているのだ。

 まずは2モデルがローンチされ、ダイアルカラーはシックなアイボリーと華やかなパープルを用意。ケースはどちらもピンクゴールドで、ミドルケースも同素材となる。既存モデルと大きく異なるのはケースサイズだけだが、ディテールはこれまでの進化の足跡をミックスしており、ダイアルの仕上げやインデックスのあしらいはステンレススティールモデルと同様で、リュウズのデザインも最新型。しかし、インナーベゼルのデザインを初代に倣ったシンプルなものにしているのは、全体が小型化したため、最新の秒目盛り付きインナーベゼルでは情報過多になってしまうからだろう。

 機構や素材、仕上げだけでなく、サイズ展開にまでバリエーションを広げたCODE 11.59は、まさに隙のない陣容となりつつある。数十年後にマスターピースと呼ばれるであろう時計の現在進行形を今、目の当たりにしているのかもしれない。


【オフィシャルウェブサイト内の日本特別コンテンツでは、「時計のはなし」やスタイリング提案を公開中。】


楽しみながら時計を学ぶ AP LAB Tokyo

世界的なファッションタウンであり、観光地でもある東京の表参道から一本路地を入った場所に、時計の名所がオープンした。「AP LAB Tokyo」は、ゲームを通して時計文化を学び、体験を通じて時計技術を理解する場所。時計好きならぜひ足を運んで欲しい。

AP LAB Tokyo

(右)周囲のショップともなじむ、洗練された「AP LAB Tokyo」のファサード。これはスイス本社横に設立された「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」の装飾デザインを踏襲している。
(左)1階フロアには5つの展示があり、それぞれの場所で時計に関するゲームに挑戦。

 スイスの時計ブランドでは、時計文化を広く伝えていくことも自らの責務として考えおり、過去のアーカイブを収蔵するミュージアムを開設するなど、時計作りの伝統を伝える場所を積極的に展開している。オーデマ ピゲでもル・ブラッシュの本社横に美しいミュージアムを設立したが、もっと身近にスイス時計の伝統と文化を体感できるスポットを東京にオープンさせた。

 AP LAB Tokyoは、エデュケーション(教育)×エンターテインメント(娯楽)をかけ合わせた〝エデュテインメント〞をコンセプトにした、世界初となるオーデマ ピゲの施設で、オーデマ ピゲの歴史や卓越したクラフツマンシップなど、機械式腕時計に関する知識を深めることを目的としている。

AP LAB Tokyo

(右)階段横など随所にイラストを配置し、ナビゲーション的役割を果たしている。
(左)2階フロアには時計師の作業机が並ぶ。壁面にはル・ブラッシュの風景写真をディスプレイした。

 1階フロアには「TIME(時間)」「MATERIALS(素材)」「ENERGY(機構)」「CHIMING(音)」「ASTRONOMY(天体)」をテーマにした5つのゲームがある。そして全問正解すると2階フロアへと進み、ル・ブラッシュの自然をイメージした工房において、専門の時計技師にレクチャーを受けながら時計師体験ができる。ヘアライン仕上げやペルラージュなどの装飾技法を、実際に手を動かしながら学ぶことで、高いレベルの知識を得られるだろう。

 オーデマ ピゲの時計は、山深きル・ブラッシュで丁寧に作られている。その文化や技術、仕上げの奥深さを知ることで、より時計愛を高めてほしい。

AP LAB Tokyo

住所/〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5-10-9
電話番号/03-6633-7000
営業時間/11:00~19:00
定休日/毎週火曜日
※入場無料
(予約優先、予約なし入場も可能)
※下記専用サイトからご予約可能です。
予約サイト:https://aplb.ch/g58k


Contact info:オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000
https://www.audemarspiguet.com/jp


オーデマ ピゲ ブティック 名古屋 ハイブランド激戦区でも際立つ品揃えとサービス

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