ステンレススティールのケースにイエローゴールドのベゼルを組み合わせたいわゆる「コンビ」は、1980年代に世界中で大流行した仕様。オールゴールドのモデルよりもお洒落で都会的だとされ、それこそ世界中のセレブリティたちが競うようにコンビの時計を着けこなした。1980年のウィンブルドンの決勝戦を描いた映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』の劇中でボルグがコンビのロレックス「デイトジャスト」を着けていたのは、そんな1980年代の気分を忠実に表したもの。ちなみに、マッケンローの父親もコンビのデイトジャスト、マッケンローはSSのデイトジャストであった(多分)。
そしてここ数年、そんなコンビの新作が毎年のように登場。今年はさらに大充実した。なお、いまは「コンビ」ではなく「バイカラー」というのが一般的。チタニウムやブロンズ、セラミックといった異素材の組み合わせや、PVDやDLCなどによる色合わせなど、より多彩になっているのも注目点だ。ということで、バイカラーの世界的人気が再燃する予感大。その新作のなかから厳選した、いずれ劣らぬ魅力のモデルをご紹介しよう。
バイカラーケースの新作時計ランキング5
5位:ショパール「ミッレ ミリア 2019 レース エディション」
直径44mm
自動巻き
25石
2万8800振動/時
100m防水
SS×RG
世界限定250本
122万円(税別)
「ミッレ ミリア」は「世界でもっとも美しいレース」と称されるイタリアのクラシックカーレース=ミッレ ミリアとのパートナーシップで生まれたコレクション。「レース エディション」は毎年限定で制作される特別モデルで、これはその最新の2019年版。ベゼルとリュウズとプッシュボタンをローズゴールドにしたバイカラーがハイジュエラーでもあるショパールのラグジュアリー感やエレガンスを感じさせてくれるのが魅力だ。(なお同モデルは残念ながら完売した)
4位:ブライトリング「ナビタイマー オートマチック 41」
直径41mm
自動巻き(Cal.17)
25石
2万8800振動/時
3気圧防水
SS×RG
68万円(税別)
昨年、発表された「ナビタイマー オートマチック 38」は1950年代のアーカイブをモチーフにクロノグラフ非搭載の3針仕様としたのが大きな話題になったもの。これはケース径を一回り大きな41mm径にした新シリーズの、そのバイカラーモデル。ナビタイマーの象徴であるフライトコンピュータ=航空計算尺搭載の回転ベゼル外周をレッドゴールドにしたのがエレガント。アンスラサイトのダイヤルとのカラーリングも洒脱だ。
3位:オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」
直径36mm
自動巻き(Cal.Oris 754)
26石
2万8800振動/時
5気圧防水
SS×ブロンズ
20万円(税別)
近年、ブロンズケースが人気を集めているが、オリスはその名手のひとつ。昨年はブロンズケースをポリッシュ仕上げにしたモデルやSSケース×ブロンズベゼルのバイカラーモデルで話題を集めた。そして今年はアイコンの「ビッグクラウン ポインターデイト」のコインエッジベゼルをブロンズにしたバイカラー仕様が登場。ブロンズ特有の風合いが持ち味のレトロ感をよりアップ。もちろんエイジングも愉しめる好モデルだ。
2位:チューダー「ブラックベイ クロノ S&G」
直径41mm
自動巻き(Cal.MT5813)
41石
2万8800振動/時
200m防水
SS×YG
67万1019円(税別)
「S&G」とは「ステンレス&ゴールド」の意味で、SSケースにYGのベゼルとリュウズを組み合わせたバイカラーのこと。それが今年「ブラックベイ クロノ」に登場。これはブレスレット仕様で、1コマ目までは18KYG、2コマ目からは金張り、という合理的なところがチューダーらしくて好ましい。ブラック×シャンパンカラーのダイヤルも格好よく大人気になること必至。バイカラー人気をさらに盛り上げるリーダー的存在になりそうだ。
1位:カルティエ「サントス デュモン」
ケースサイズ43.5×31.4mm
クォーツ
3気圧防水
SS×PG
60万5000円(税別)
※10月1日より新価格「57万円(税別)」
今年、発表された新シリーズで細身のローマン数字インデックスや薄型のケースがよりオリジナルに近い雰囲気であるのが特徴。従来の2倍にあたる約6年の長期間駆動可能の新型クォーツムーブメントも素晴らしい長所だ。そしてわけても魅力的なのがこのバイカラー。サントスのバイカラーは1980年代の世界的「コンビ」人気を牽引した当時のステイタスシンボル。そんなことを思い出させてくれる好作だ。